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「けむり」から読み解けるモノ

通信手段としての「けむり」

煙が天へ昇る性質は「のろし」として通信手段の役割を果たしてきました。

コミュニケーションとるための手段として活用されてきたわけです。

同時に、実用的な活用のみならず宗教的な儀式や儀礼においても、煙が天と地を媒介する方法、つまり天と地の通信手段として、神が統治する天上界と人間の現世界とを媒介し、物理的には不可能に見える神と人間とのコミュニケーションを可能にするものとして用いられてきました。

 

「けむり」と宗教儀礼

この様な考え方や風習、文化などは世界中の国や地域で昔から確認されているものです。

中米を中心に紀元前から繁栄を誇った長い歴史をもつマヤ文明は、宗教的な儀礼の中でろうそくの煙を通して祈りのことばを天の神に伝えたといわれています。

マヤ文明は、ピラミッドや都市まで築くことができる高度な技術を持っていました。

また、大河流域で形成されることが多かったほかの地域の文明と違い、ジャングルやサバンナ、ステップ地帯、針葉樹林など、さまざまな自然環境の中でも発展することができたという特徴も備えています。

そこには、神世界と現世界を繋ぐことの存在、そして現代のような通信手段やコミュニケーション方法が存在し得ない太古において、巨大な統一王国による統治ではなく、多くの王国による多様な文化を継いでいたであろう「けむり」の役割が大きかったのではないかと思います。

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世界各地でシャーマンが恍惚状態に入る時にも「けむり」がしばしば用いられてきた歴史があります。

忘我状態となったシャーマンは、神や精霊を呼び出し、通常では可視することが難しいと思われる交信、交流を始めます。

「けむり」の存在を上手く神秘性にまで昇華させているのでしょう(けむりですから…(#^^#))

 

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アメリカ大陸では煙草の「けむり」がよく用いられていました。

ブラジルのボロロ人は、トウモロコシの収穫祭のとき鼓舞し、歌いながら煙草をふかし、陶酔状態になるそうです。

北アメリカの先住民の間では、神や精霊に煙草の「けむり」を捧げ、猟の前には動物霊を慰撫するそうです。

アメリカ合衆国南西部の勇猛果敢な戦士として名をあげた北米平原先住民の狩猟採集民コマンチは、煙草の「けむり」を大精霊と太陽に捧げました。

戦争や紛争のあと和解するときにしばしば喫煙が行われていたと言います。

「けむり」の中に人と霊的存在、対立する人間の間を仲介する力が潜在していると考えられていたからではないでしょうか。

仏教で広く使われる香や、一部のキリスト教会で使われる香も、その「けむり」が悪霊を払い、心身を清め、場を浄化するということだけでなく、本来隔絶している神と人とを媒介する力を「けむり」がもっているから用いると考えられます。

 

「けむり」が重要な役割を果たす儀礼に雨乞いがあるとされます。

雨乞いのとき、しばしば山頂などでたき火をしたり、よく煙が出るものを燃やしています。

この煙は雨雲を再現しているとも解釈できますが、やはり超自然的世界との象徴的通信手段として「けむり」が活用されていると考えられるのではないでしょうか。

 

 


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