かおり風景100選・東北⑩【羽黒山南谷の蘚苔と杉並木】
羽黒山南谷の蘚苔と杉並木
月山の残雪、羽黒杉、霊山の空気が独特の雰囲気を感じさせる。松尾芭蕉が羽黒山に訪れた際に、6日間逗留した場所があり、句を残している。県指定史跡に指定されている。
「有難や雪をかほらす南谷」所在地は山形県羽黒町、かおりの源は杉、蘚苔、残雪、風、季節は一年中となっています。
(環境省:https://www.env.go.jp/air/kaori/ichiran.htm)
2001年度に環境省が広く一般に呼びかけて選定し、紹介している全国各地の100事例です。
環境が嗅覚を通じて人に影響することについて、単に悪臭公害を防止することだけに着目するのではなく、日本の自然や伝統・文化に係わる「よいかおり」を保全することを通じて、環境の快適性を確保・創造することを目的としています。
環境省のHPを中心に、かおり風景100選に該当する自治体からの抜粋などを紹介させていただきます。
月山
「月山(がっさん)」は、山形県にある、標高1,984mの山です。
「出羽三山」の主峰にあたり、「磐梯朝日国立公園」の区域の一つに指定されています。
山頂には「月山神社」が祀られています。
「万葉集」には、この月山神社の祭神である『月読命』を詠んだ歌があり、「死と再生の聖なる山」として今も多くの信仰を集めています。
大日如来を本地仏とする奥の院湯殿山と、峰子皇子(はちこのみこ)を開祖とする羽黒山とあわせ、出羽三出と称される奥州随一の山岳信仰の地でもあります。
月山は豊富な残雪量を誇り、国内で唯一、夏スキーが楽しめます。
また、雪解け後には350種にもおよぶ高山植物、秋には紅葉に囲まれての登山が満喫できます。
山頂からは日本海まで見渡す絶景が広がります。
山開きは例年7月1日。登山コースは初級者から上級者まで用意されています。
1,500m付近まではリフトが整備されているため、初心者の方でも気軽に登山が楽しめます。
スギ並木と爺杉
羽黒山(標高436m)では、羽黒神社表参道の随神門から山頂の三神合祭殿までの間、石段の両側に見事なスギ(裸子植物類スギ科)が並び立っています。
このスギは、羽黒山が山中で修行し祈祷する修験道の聖地であるところから、修験者(山伏)たちにより信仰の証しとして植えられたものらしいです。
江戸時代初期、羽黒山中興の祖といわれる天宥別当(てんゆうべっとう)が、生育不良のスギを植え替えたりするなどとくに力を注いだと伝わっています。
昭和30年(1955)の指定時には総数585本あったが、台風や雪害によって多く枯れ、現在は400本あまりになっていますが、樹齢350~500年、 幹周り2~4mのスギ並木は実に壮観で、樹高51mのものも存在します。
特に石段を登り始めて約15分ほどの地点にどっしりと構える大スギに出会えます。
根周り10.5m、幹囲8.25m、高さ43mに達する。推定樹齢1000年以上といわれており、スギ並木以前から生育していたものであって、羽黒山で最大にして最古の巨木で、まるで国宝五重塔の露払いをつとめるかのように立っているスギが国指定の天然記念物である「羽黒山の爺スギ」です。
かつては婆杉とともに2本が並びそびえていましたが、残念ながら婆杉はもうここには存在しません。
その婆杉が倒れたときには三日三晩、爺杉が泣き続けたと現在にも語り継がれています。
南谷の蘚苔(せんたい)
史跡、南谷には、寛文2年〜3年(1662〜3)にかけて、第50代天宥別当が、山を切り開き、山上から寺院を移築し庭園を造営した場所で、紫苑寺と名付けられました。
天宥が建てた壮大な寺院は、わずか10年で炎上し、その後、規模を縮小し再建された寺院に、元禄2年(1689)、松尾芭蕉が出羽三山を訪れた際、6日間逗留しました。
江戸中期以降は、ほとんど足を踏み入れられることがなくなり、荒れ果て、今残っているのは、最後にあった玄陽院の一部の礎石だけとなっています。
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