シンボリズム【ヒエロファニーと宇宙木】
ヒエロファニー【hierophany】
世界各地の古代社会には、世界の中心に山・柱・樹木などで表される「シンボル」が存在するという信仰が世界中で見られます。
この「シンボル軸」は、天上・地上・地下の三つの世界を貫いて立っている軸を意味しているのだと思います。
三つの世界をそれぞれに行き来するためには、この軸を通してのみ可能だということが多くの信仰に共通する概念のように思います。
そして、この軸を中心として、信仰の独自性や世界観が展開されていくとされています。
これは、宗教学者 M.エリアーデが唱える「ヒエロファニー」と言われています。
ヒエロファニーとは「聖なるものが自らを現わし、示すことで、宗教世界はこのヒエロファニーによって構成されている」とあります。
つまり、人であれ、物であれ、聖なる「何か」が出現して、その何かに接触して、展開すると、神秘的なカと実在性を顕すことが出来るようになるという共通した構造が見えてくるそうです。
ウラル=アルタイ民族のシャーマンは、儀礼において7つか9つの刻み目をつけた白樺の柱を昇り、神々と交流できるとされています。
これは、天上界、地上界、地下界の交流を可能にする軸であり中心である通路としてとしてのシンボリズムが確立されているからだとされています。
中心が最も聖なる空間であり、シャーマン通路を恭しく登っていくことで、神々の世界に到達でき、神の意向を尋ねることができるという構造になっています。
宇宙木
実際に「白樺」という「木」を中心とすることがなくても、この構造を宗教学者であるエリアーデは「ヒエロファニー」の宇宙木のシンボリズムと読んでいます。
天上界・地上界・地下界を一つの「木」に見立てて、宗教的な価値観や概念の世界観を「宇宙」と表現し、枝や葉っぱをそれぞれの宗教観における文化や慣習や儀礼や背景に照らして考えるというとても面白い構造だと思いました。
また「宇宙木」の構造に合わせて、天地創造の時代という聖なる時間も存在し、その時間に回帰し再生・新生を周期的に繰り返すことで、永久性と豊饒性が存在する」という世界観も首尾一貫した構造とされています。
繰り返し再生・新生することで生命の神秘性が謳われています。
豊饒性は狩猟民としての生活であっても、あるいは農耕民として生計を営むようになってからであっても、狩猟の成功や豊作を祈願すると言った祈りを捧げる行為や生活の中に「動物界や植物界の神聖性」が存在し、その世界観が儀礼の中に取組まれている点を意味しているようです。
生命特有の「生」→「死」→「再生」を絶え間なく反復する「循環」という原理に照らして、「人間もこの循環の原理に則り、死と再生を繰り返し、そしてそのことによってのみ世界の神聖性に触れることが出来る」という人間観が形成されてきました。
聖なる「何か」、天上界、地上界、地下界を交流する中心、、生命、豊饒のシンボルはばらばらにあるのではなくて、一つの共通した世界観を作り上げる構成要素で必然的な流れとされている点に妙に納得させられました。
シンボルの構造
エリアーデは潜在的に持っている意味内容をも含めて「シンボルの構造」という言葉で表現しています。
一方で、宗教とはある一面では社会、文化を超越しており、人類の宗教史の流れから見て、正しい解釈とそうでない解釈が決定されるののであって、正しい意味とはその社会、文化で多数が認め、その支持を得て、社会的に機能している意味だということです。つまり「宗教シンボルとは人間に解釈されようとされまいと、宗教シンボルであることに変わりはない」ということを言っています。
文化や歴史から独立・分離している宗教現象はありません。すべての宗教は、社会・文化と密接に関係し、社会構造、文化体系の中で決定的な役割を果たします。
エリアーデも「ほとんどすべての主要な社会制度は宗教から生まれたといっていい」と言っています。
私たちは何を中心と考え、科学では解明できないような事象にも考えを巡らせる混沌とした時代になっています。
自分という存在が交差軸の「点」だとするならば、縦軸は祖先からの子孫から受け継がれてきたもの。
では横軸は?
きっと目には見ることのできない世界の中に答えがあるのかもしれませんね。
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