お香を辿る【お香の始まりの地/お香の日/最も大きな沈香とは】
始まりの地
日本有数のお線香の生産地で、全国生産量の約70%を占めている淡路島には、日本で最初に香木が伝承したといわれる枯木神社があり、人の体の大きさぐらいある香木がご神体として祀られているそうです。
時代をかなり遡り、西暦595年4月(推古天皇の時代)に、この淡路島に流木が流れ着きました。
「日本書紀」には「沈水、淡路島に漂着」とあります。
この沈水(じんすい)というのが一般に言われるところの沈香(じんこう)という香木で、お香の代表と言っていいすばらしい香りがします。
長さが2メートルを超えるこの木が淡路島へ流れ着いたとき、島民が他の流木と一緒に燃やしたところ、えもいわれぬかぐわしい香りが立ち上ったのでこれを朝廷に献上しました。推古天皇の時代は聖徳太子が摂政であり、聖徳太子の伝記「聖徳太子伝略」にもこの流木(香木)の記述があります。また、聖徳太子はこの木片が沈水であるとすぐに理解でき、かねてから仏教の普及につとめていたため、流木(香木)で手箱と法隆寺の観音像を作ったとの逸話もあるそうです。
お香の日
これがお香の歴史の始まりということで4月を、また「香」という漢字を崩すと「一、十、八、日」に分解できるところから18日を選び4月18日をお香の日としています。
この日本書紀のエピソードがお香に関する日本最古の記述です。
聖徳太子には既に知見のあったこの沈香とはどのような香木なのでしょうか?
お香といえば沈香といわれるほどに、代名詞として代表的な香木です。
別名「沈水」や「沈水香」とも呼ばれ、水に浮かべようとすると、比重が重く沈むことから、この名が付いたと言われています。木がもともと持っていた樹脂が木質に沈着したものが香りの発生源となっており、この樹脂成分によって水に沈みます。
現在、日本にある沈香の中で最も大きいといわれているものは奈良、東大寺正倉院に保存されている「蘭奢待(らんじゃたい)」で、長さ150cm、直径37cm、重さ11.6kgとあります。
蘭奢待の魅力
奈良時代、中国を経由して聖武天皇の手に渡った「蘭奢待」(らんじゃたい)という雅な名前が付けられた香木は、、権力や権威の象徴としての価値に十分に見合ものでした。
「蘭奢待」の名は漢字の中に自身が創建した「東大寺」の三文字が、「蘭」、「奢」、「待」の各文字にそれぞれ「東」、「大」、「寺」の文字が隠れており、良い香りを意味する「蘭麝(らんじゃ)」という言葉と絡め、言葉遊びの中にも奥ゆかしさが感じられると思います。
蘭奢待は現在も聖武天皇ゆかりの宝物を集めた正倉院に収蔵され、国宝を超える御物と呼ばれるもので、天皇の許可なくしては持ち出すことはおろか、見ることもかなわぬ超弩級のお宝として「正倉院御物棚別目録」に記載されています。
正倉院
目録上の名前は「黄熟香(おうじゅくこう)」。
全長156cm、最大径は43cmと、成人女性ほどもある巨大な沈香(じんこう)で、原産地はベトナムからタイ、ラオスにかけての山岳部とされているそうです。
歴史を動かす、究極のお香の頂点の香木である蘭奢待。
あまりの価値の為、神格化された香木である蘭奢待。
歴史と伝統が作り上げた「夢」のようなお宝ですね。
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