自然のみが創りだせる香りの謎【龍脳、藿香】
龍脳(りゅうのう)について
龍脳は、帯アジアに広く分布するフタバガキ科の常緑高木、龍脳樹という木からしみ出た樹脂が顆粒状に結晶化したものです。
幹の割れた中に自然と結晶化している天然の場合もありますが、希少品のため代用品が一般的です。
産地はスマトラ島、ボルネオ島、マレー半島などです。
成熟した高木ば高さ50~60m、直径1~2m になりますが、希少性の要因はこれまでの乱獲や伐採とされ、上述のように天然龍脳は殆ど産出されないため、樟脳(しょうのう)から合成されるものが使用されています。
龍脳と樟脳を比較すると、龍脳は比較的優しい香りがするのに対し、樟脳はナフタリンの刺激臭と言えます。
龍脳は、古くから中国やヨーロッパなどで高級な宗教用薫香料として、頭痛、歯痛などの薬として用いられてきた歴史があります。
スマトラ島の住民がこの龍脳を偶然見つけ、これを額に塗ったところ頭痛が治まったことから、神からの贈り物として重宝されたという話もあります。
また、中国では「龍の脳」と言われるほど希少で貴重なものであり、貴族たちから大変好まれました。
かの玄宗皇帝は最上級の龍脳を楊貴妃に贈り、楊貴妃が亡くなるまで身につけていた香りとしても有名です。
日本においても、奈良県にあるマルコ山古墳から出土した遺骨から龍脳の香りが検出されています。
ペルシャの国王クロスロエスⅡ世は、龍脳をとても珍重しており、バビロン王宮に宝物として秘蔵していたほどです。
マルコポーロやカモンイスに“病の慰め”とも呼ばれ、ペストや伝染病、その他胃や腸の症状にも処方されたという史実があります。
今も、龍脳は薬として「六神丸」「救心」「仁丹」などに配合されているそうです。
そしてのどに効く「龍角散」の名前は龍脳、龍骨、鹿角霜を処方して使っていたからとのこと。
他には、書道で使う「墨」を作る際にも、必要なものです。
墨をすっている時に辺りに広がる涼やかな香りは龍脳によりもたらされていいます。
藿香(かっこう)について
藿香は、「広藿香」と「土藿香」の二種類があります。
「広藿香」は、熱帯アジアのインドネシアやフィリピンが原産で、インドネシアやインド、中国の広東省・雲南省などで産出されるシソ科の多年草であるパチュリの葉や茎を乾燥させたものです。
産出地の広東省に由来して、「広藿香」と呼ばれます。
これに対し、日本を含めなお、中国の四川省あるいは東アジアに広く分布するシソ科の多年草、カワミドリの葉や茎を乾燥させたものを「土藿香」と呼びます。
山地に生え、高さ約1メートルほどになり、茎は四角柱で、葉は心臓形で縁にぎざぎざがあるり、8~10月、花穂を出して唇形の紫色の小花をつけます。
どちらもよい香りを放ちますが、「広藿香」と「土藿香」とは成分が違います。
医薬品としては下痢や制吐剤、解熱剤、健胃薬として用いられ、香料としては、優しく上品で東洋的と言われるパチョリオイルの香りには興奮した神経を鎮静させたり、ストレスによる神経疲労を和らげる効果があります。
揮発しにくい性質で、保留材や他の香りを引き出すのに優れているため重宝されています。
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