嗅覚を制する者は…
嗅覚が担う、大切な役割
五感をバランスよく使えるのは人間だけとされ、
人間が健全な生活をおくるためには、バランスのとれた五感を維持することが大切といわれます。
「嗅覚」は五感のなかで無くてもいい感覚などと言われることがありますが、
匂いを通して様々な情報を収取し、食べ物や、個体の認識、生殖活動の誘発など
生きることに不可欠な行動や習性に深く関係しています。
TVで鼻をつまんで食事をして、料理名をあてるといったゲームがありました。
視聴者がその様子を見て不思議がりながら、笑っているように、その料理を認識し、加えて「美味しい」と感じるためには、味覚だけでなく嗅覚(風味)が重要であることは言うまでもありません。
美味しさや嗜好との関連性も深く、匂いによって過去の記憶や風景が瞬時にして呼びもどされます。
ほとんど全ての生物は、嗅覚を使って食べ物を見つけてエネルギーを獲得し、また、嗅覚を使って交尾相手を認識して子孫を残しています。
こうしてみると、毎日の生活において様々な感情を感じながら面白味を創りだしてくれているのは
「匂い」と「香り」があるからだと言えます。
ある論説に、
「顔面に威風堂々とそびえたつ鼻を制するひとは、人類の本質を制すると言っても過言ではないかもしれない」
とありました。
嗅覚は感覚のすべてを支配してしまう潜在的な能力を秘めた「キーワード」かも知れません。
嗅覚が持つ神秘性
香りを表現することは、曖昧で言葉ではうまく表現しがたいものであり、
さらに心理的生理的な効果をもたらす力をもっているので、
世界中で古くから神秘的なものと結び付けられてきました。
日本でも神話に登場する「須佐王尊」は、
『古事記』の記述によれば、
“神産みにおいてイザナギが黄泉の国から帰還し、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊を行った際、天照大御神、月読命に次いで鼻を濯(すす)いだときに産まれた” とされています。
信仰の対象となり得る神を、嗅覚を象徴する「鼻」を濯ぐことによって生誕させる神秘性にとても興味が湧いてきませんか?
古の日本においては「匂い」や「香り」は尊重され、
生活に占める価値の割合も高く、
医療が発達していない時代には嗅覚の優れていた人間は統治能力があって、
リーダーの条件だったりしたのでは?と思ってしまいます。
しかし、現代において日本は特に衛生志向が強いため、
消臭剤が最も売れる国になっています。
腐っているものなどは匂いを強く発するため、
なんとなく「匂う=不衛生」という感覚はわかるような気もしますが、匂いそのものは病気を媒介する訳ではありません。
「納豆の匂いが、実は足の裏の匂いと近いもの」と言われると、
同じ匂い種類のなのに心理的に嫌悪感を感じる方が多いそうです。
現代における「嗅覚」は、個人差によるところが大きく、心理的な要因が強いとされるのかも知れません。
日常生活の身近にあって、その恩恵をたくさん受けていながら、
軽視され排除されがちな「匂い」や「香り」の重要性を
再認識する新しい時代が来るかもしれません。
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